弱肉強食が続くパチンコ店の現在。好調なお店と倒産寸前なお店の落差が激しい2023年の遊技産業事情
最初に
色々な記事で書き続けていることなんですが、パチンコ店の店舗数は減り続けています。そしてパチンコ店の閉店とは別問題としてパチンコ店の経営者も減り続けています。
パチンコ店の数が減っているんだからパチンも店経営者も減るのは当たり前じゃないのかという意見もあると思いますが、それだけではなくパチンコ店の閉店がなくても経営者が減る理由があります。今回はそのことについて書いていきます。
2022年12月末時点のパチンコ店舗数とパチンコホール経営企業について
年度 | パチンコ店舗数 | パチンコホール経営企業 |
2018年12月 | 9794店 | 3244社 |
2019年12月 | 9386店 | 3003社 |
2020年12月 | 8778店 | 2798社 |
2021年12月 | 8139店 | 2577社 |
2022年12月 | 7365店 | 2347社 |
これは株式会社矢野経済様が調べたデータです。
引用元 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3225
店舗数が減れば当然ながら経営企業も減るのですが、減った店舗数と経営企業は同数にはなりません。当然ながら複数店舗を経営している企業があるからです。そこで気づいて欲しいのですが経営企業=経営者数という図式にもなりません。経営者一人で複数の経営企業の代表になっていることがあるからです。それではパチンコ店の経営者は何人ぐらいいるのか?
実は経営者数を記した資料を見つけることはできませんでしたが株式会社矢野経済様調べによると資本や経営者などで関連する企業を集約した企業グループ数は1,618グループということなので最低でも1618人はいるものと思われます。
M&Aが盛んなパチンコ業界
パチンコ店業界では単純に閉店だけではなくお店を売るということが起きています。一番最近では下記の記事になりますが
1304台の大型パチンコ店『メガガイア東大宮』が「遊楽ガーデン」グループの傘下に、埼玉県で7番目に大きいホールが事業承継される
引用元 パチンコ情報島
これはメガガイア東大宮が遊楽ガーデングループに売却されたということになります。メガガイアがグループ89店舗の中でも5番目に大きい店舗ということで旗艦店でもあったはずですが、パチンコ事業のスリム化と経営の健全化の為に売却されたようです。ここ数年のガイアの集客状況をみれば経営も資金繰りは楽とは言えないでしょうから買ってくれる法人があればどんどん売却して現金に換えたいのだと思います。
「デルパラ」グループはわずか5年足らずで経営店舗数が倍増、岡山県のパチンコ店「バージン」6店舗を傘下に収める
引用元 パチンコ情報島
こちらは岡山の老舗パチンコ店であるバージンがデルパラグループに6店舗吸収合併されたというニュースになります。岡山県と言えばかなり昔にゲットゲットなどのスロット専門店を中心に経営していたゲンダイグループが約200億円の負債を抱えて倒産したことでパチンコ業界に激震を与えた地でもあります。
バージンはここ数年でバージン当新田店、バージン米子店、バージン総社店を閉店したことで経営するパチンコ店は7店舗まで減っていましたが、今回残る7店舗のうち6店舗が吸収合併され旧経営陣が運営するのはバージン表町店の1店舗だけとなります。1店舗だけの運営ということで超大型店を残したのかと思っていたのですが実は商店街の中にある225台設置のかなり小規模な店でした。
バージン表町店
https://www.p-world.co.jp/okayama/virgin-omote.htm
この店を残した理由は分かりませんが、スマスロが導入されていることからも今後も営業を継続する線が濃厚です。当然ながら諦めるつもりはないと思うのですが、バージンはここから店舗数を増やすことができるのでしょうか…
過去にバージングループはルーキー長船店とイルプレゴというお店をM&Aしてバージン長船店、バージン倉敷店にしましたが月日が流れ今度はバージン自身がM&Aされる側になったのは業界の荒波を感じるところです。
今までM&Aされた店舗を紹介していきましたが、これまでの例は経営者はパチンコ事業を継続している例になります。しかし全店が閉店やM&Aされた場合には経営者がパチンコ事業から撤退する為に経営者が減ることとなります。
「藤沢駅」からすぐのパチンコ店『HAPPY G・FUJISAWA』が㈱E・クライスに事業承継される、これにて「富士興業」グループはパチンコ事業から撤退
徳島県徳島市の『マルハチ徳島店』がノヴィル株式会社に事業承継されて計41店舗に、マルハチ商事はパチンコ事業から撤退か
「富士興業」グループも以前は神奈川県と静岡県で5軒のホールを営業していましたが、閉店や事業継承によりパチンコ事業から撤退となりました。
マルハチ商事株式会社も以前は2店舗経営をしておりましたが昨年10月に『マルハチ山川店』を閉鎖、経営ホールは『マルハチ徳島店』の1軒のみとなっていたが最後の1店舗が事業継承されパチンコ事業から撤退となりました。
おそらく今後もM&Aが活発に行われグループが統合されることになるはずです。特に小規模なグループは閉店やM&Aのターゲットになりどんどんと減ってくるのは目に見えています。
まとめ
パチンコ店は2極化が進んでいます。どんどん売上が下がり毎月赤字続きで閉店をしたくても銀行からの借り入れが大きく閉店できない店舗もあります。中には自分の息子に借金を背負わせたくなくて無理にでも経営を続けている店舗もあります。
しかし赤字を出し続ける企業を銀行が見過ごすはずがありません。当然ながら追加の融資は行われないでしょうし返済スケジュールの見直しや資産の売却を求められるでしょう。
当然ながら返済のめどがつかないなら銀行主導で店舗の売却が進むのも当然です。
その結果が今のM&Aが活発化しているパチンコ業界です。
数店舗経営している中規模グループは以前なら倒産の心配はそこまでなかったかもしれませんが、経営状況が悪化しているなら業界からの撤退を検討している法人も多数存在します。実際に官報に掲載される前日に、突然従業員への発表があったという例もあります。
色々と調べましたが、ここ数年でリクナビ、マイナビへの掲載をやめて新卒採用を中止している法人が比較的M&Aで店舗を減らしていたり廃業している傾向が高いようです。
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